メディア編集長 2023.05.10 シャロンが我が家にやってきた日
はじめまして。
「猫と人。繋がるものがたり」編集長の土屋和子です。
シャロンが私のところにたくさんの優しさと幸せを持ってきてくれました。
私はいつもシャロンに言うのです。
「シャロン、私のところに来てくれてありがとう。
いつもそばにいてくれてありがとう」ってね。
黒猫のシャロンはとてもおとなしい女の子で、いつも窓からお外を眺めています。
猫の後ろ姿にはなんとも哀愁が漂っています。
「シャロン、お友達の鳩シャン、遊びに来てくれた?」と聞くと
「ニャン」(来たけどすぐ帰ったよと言っています)
「また来てくれるといいね~」
「ニャン」(うん)
私はシャロン語がわかります。
こんな会話を一日何度となく交わしながら、猫と楽しく暮らしています。
シャロンは息子と彼女のキューピット
そんな可愛いシャロンとの出会いは7年前の夏のこと。
家のお嫁さん(当時はまだ結婚していません)は毎日ジョギングしていました。いつも通りかかる神社をいつものように走り過ぎようとすると、黒猫が急に飛び出してきたのです。
それもまだ生まれて数日しか経ってないのでは?と思えるような小さな小さな黒猫でした。その後ろには2匹の猫ちゃんがこちらを向いて見ています。
彼女は、「可哀そうだけど…ごめんね。家には3匹も猫がいるから、連れては帰れないのよ」と、その時は通り過ぎたのです。
でも、その日一日、お社にいた3匹の猫の事が頭から離れません。午後になると、雨が降り始めてきました。
「こんな前の中、あの子たちはどうしているだろう」と思い始めたら、もういてもたってもいられなくなって、走って神社に戻りました。
するとさっきの黒猫が飛び出してきて、彼女の足に飛びついてきたのです。
やっぱりその後ろには2匹の子猫が心配そうに見ています。
「わかった わかった 大丈夫よ。一緒に帰ろうね」と。
「でも…どうしよう…うちじゃぁ飼えないし…」
その時にとっさに家の息子の事を思い出し、電話したそうです。
実は、その時の二人は恋人同士でした。が、喧嘩をして数か月離れていたようなのです。喧嘩の原因は息子にあったので、何度も謝るために彼女に連絡を取っていたのですが、電話にも出てもらえず、まったく許してもらえない状態。もうだめなのかと諦めかけていた時のようでした。
そんな時の彼女からの電話です。
「神社に3匹の猫がいるの。どうしよう~ このまま置いて帰れないわ」と言うと
息子は
「俺に任せろ! 今から行く!」と男気を見せたのだそうです笑
まもなく車でやってきた息子。もう暗くなり始めています。クリニックの診療時間ギリギリです。すぐに、動物クリニックに電話をかけ事情を話したところ「すぐに連れてきていいよ」と。
クリニックではノミ取りと先天性の病気の検査をしてもらいました。
検査の内容は
猫エイズ検査
猫白血病ウイルス」高原検査
猫伝染腹膜炎検査
結果は数日後でしたが、とりあえず連れて帰ることができました。
さて、3匹の子猫たちは3姉妹と言う事が判明。一緒には飼えないので、それぞれ飼い主を探さねばなりません。飛び出して足に絡みついてきた黒猫だけを息子の家で引き取り、あとの2匹の引き取り先を探していると、近所の洋服屋さんとお花屋さんが名乗りを上げてくれました。
よかったよかった! みんなご近所だしね!
黒猫はシャロンと言う名前が付きました。
息子の家にはもう1匹猫がいます。ルイというベンガルの2歳の男の子です。
黒猫シャロンを連れて帰ると、もう嬉しくてたまらないようです。あっという間に二匹は大の仲良し。
その上、息子も彼女もそれがきっかけで二人で住むようになり、その後結婚に至ります💛
まさに愛のキューピットでもあったシャロンです。
しかし、話はまだ終わらないのです。神社から息子達のところに連れて帰って数か月のこと、息子達が仕事の関係で転居しなければならなくなったのです。
ある日、二人が2匹の猫を連れてやってきました。転居先は狭いアパートなので、しばらく面倒を見てくれないか…との話です。
シャロンと私の記念すべき日
私は、今でこそ猫好きですが、それまではネコが嫌いでした。大体猫の何が可愛いのかが全くわからない猫嫌い女でしたから。でもそれは、私の母が猫嫌いだったために、それを見ながら育ったせいだったのかもしれません。
二匹は可愛いキャリ―バックに一緒に入っていました。
今思うと、そのくらい2匹とも小さかったのですね。今ではシャロンだけでも入らないくらい大きくなったのに。
そのキャリ―バックから飛び出してきたシャロンは部屋を一回り走って、私の膝の真ん前で止まって言うのです。
「ねぇ ワタシ、ここでお兄ちゃん(ルイ)と一緒にいてもいい?」と、私の顔を覗き込みながら言うのです。
たぶん、そう言ってるような気がしました。
その仕草があまりにも可愛いくて
「大丈夫よ 安心して ここにいてもいいよ」って思わず言ってしまいました。
シャロン、生後4か月の頃です。猫が一番可愛いお年頃ですよね。この頃の猫って、猫と一括り出来ないような特別な可愛さを持つ時期ですよね。
すると、部屋の隅でこちらをうかがっていたルイに向かって
「ルイ! 一緒でいいって言ってるよ よかったね ワタシたち一緒にいられるよ」
たぶんそう言ているような気がしました笑
えッ 私って猫語がわかるの? 自分にビックリです!
初めて猫と会話した記念すべき日でした。
そのことを予想しながら連れてきた息子達にはめられた気がしますが、その日から私の新たな猫との暮らしが始まったのです。
ルイは男の子だし、すでに2歳になっているので、シャロンのような無邪気さはありません。まだ私に心を許していないようでしたけど、シャロンにはメロメロ状態で、いつも抱きしめるように可愛がっていました。
ベンガルと言うのはがっしりした筋肉質の身体です。目鼻立ちははっきりした大きな目と鼻筋が通った男前です。
自分がシャロンを守るという意識がものすごく強いようです。私には少し距離を置きながら様子をうかがっている感じがしました。この子は本当に落ち着いていて、共謀な点はまったくない穏やかな性格の子でした。
この後数か月、ベンガルのルイは、あっという間に虹の橋を渡ってしまいました。
この話もまた後でお話しすることにしましょう。
執筆 土屋和子/写真提供 土屋和子
土屋和子
「猫と人。繋がる物語」編集長。
元月刊パリッシュ代表&編集長。62歳までは経営者。その後はフリーランスとして現在は事業プロデユース・執筆・プロモーション制作(パンフレット・HP)等を手掛ける。フリーランスの仲間たちを繋ぐサイト「ツキヒヨリ」https://tuki-hiyori.com/を運営。
都心で黒猫シャロンと暮らしている。