猫と人。繋がるものがたり ネコット

経営者 2023.08.14 世界の猫に会いに行く男

台湾 猫村・猴硐(ホウトン)の猫たち

台湾の猫村・猴硐(ホウトン)をご存じですか?
今猫好き仲間では注目されている場所です。

村の入り口にある案内看板

村中、猫・ねこ・ネコの町。
この猴硐(ホウトン)村には100匹くらいの猫がいることで有名です。
昔は炭鉱の町だったようですが、村おこしの有志達が「常に猫がそばにいる最も美しい猴硐(ホウトン)」というスローガンで活動が始まりました。

近くには日本人が作った「賀田移民村」(日本最初の移民村)があり、現在は観光地としても有名です。
のどかな美しい村の景色に溶け込むように、のびのびと暮らす猫たち。

さぞかし住み地が良いのでしょうね。
どの子もみんな優しい顔をしています。
ここにいる猫たちは野良猫ではありません。
お店の人やボランティアの人たちが猫の暮らしを守っています。
人懐っこい猫ばかりではなく、餌は欲しいけど触らないでって素振りを魅せる猫もいるそう。写真撮影はOKですって。
ネコグッズや猫カフェもたくさん並ぶ、猫好きにはたまらない村(場所)のようです。

実はこの猴硐(ホウトン)村のことは、和田裕助氏という方に出会い、取材させてもらう中でお聞きした話なのです。
なんと、和田氏は台湾だけでなく世界中の町の猫に、会いに行っているのです。訪れた国はおよそ20か国になると言います。

それに猫カフェは台湾が発祥だということも初めて知りました。
台湾の猫カフェは、店内も外も変わりなく普通に猫たちが出たり入ったりしているようです。

まるで室内飼い猫のようにも見える猫たち


日本のように、カフェの中に猫がいるというものでなく、猫たちの中にカフェがあるといってもよい感じだそうです。

和田裕助という男は何者ぞ?

私はこのネコットストーリーを書き始めて、多くの人と出会っています。
今回はまたとんでもなく不思議なビックな人生を歩んでこられた方にお会いするチャンスを得ました。
この方の人生は突拍子もなく波乱万丈なもので、一冊の本には書ききれない濃厚な・・・いえ、実際1冊書いておられます。「死神と呼ばれた男」という著書を出版されていますが、その著書の中で語られる内容は一般人では到底体験できない中身のものです。

4代続く葬儀社一家の跡取り息子(5代目)が世界を舞台に奇想天外な人生を歩む。

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年齢は57歳、茅ケ崎出身。この方のご先祖の話しからすれば、鎌倉時代、相模の国の和田義盛の話しまでさかのぼらなくてはならなくなるので、今回は割愛させていただきます。

小学校からイギリスの全寮制の小学校へ行かされ、途中一時日本に戻るも、また今度はアメリカの学校へ。大学はボストン大学工学部。兵器研究からアンテナ工学等を学び、どの分野でもとびぬけた能力を発揮するのです。

卒業後はミノルタでレーザープリンターを世界規模で販売するため、シリコンバレーへも長期にわたる出張をこなしていたある日、1枚の父親の金銭借用書を肩代わりするために、奈落の底へ突き落されるのです。その後、3年ほど地獄を味わうのですが、自力で資金・体力を回復させ、家業の葬祭事業に新たなIT技術を導入することなどで、持ち直し今に至っています。現在は若い人達の新規事業の開拓アドバイスやコンサル等、これから世の中を動かしていく人達の応援団として、心血を注いでいます。

そんな多忙な和田さんが時間を見つけては、猫に会いに行くというのです。
それも、世界中どこへでも行くのです。

なぜ?世界の猫を見に行くのですか?

ネコとの記憶
子供の頃の忘れられない猫の思い出があるんです。
母が出産のために入院した日、父が代わりにご飯を作ってくれたんですよ。
それがまさかの〝猫まんま〟。当時飼っていた猫と同じご飯。煮干しで出汁を取った味噌汁の中に白いご飯を入れる、あの〝猫まんま〟そのもの。それが凄くショックでね
「お父さんは猫のピーと僕は同じ生き物としか思ってないんだ。愛されてなんかいないんだ」ってね。それは大きくなっても鮮明に残っている記憶でした。
ネコとの思い出はそのくらいしかなく特別な思い入れはありませんでしたよ。そもそも猫とゆっくり触れ合うほど、同じ場所で暮らしたことがなく、いつもあっちの国やこっちの国へと、世界を渡り歩いていたから。

猫の存在を意識し始めたのは・・・・
何年か前に御徒町に住んでいた時期がありました。
毎日通る道に必ず猫がいる。ある日「可愛いな・・」って思ったのです。

この猫たちを見る度になんだかホッとしてね・・・
わざわざ猫と会うために待ち伏せしたりして。
どうして急に猫が好きになったのか、自分でも正直わからないのですよ。
父親からの〝猫まんま事件もあったし〟。
ずっとずっと駆け足で抜けて生きてきた僕が、ふっと立ち止まって猫を見ている。
最初は見ているだけ。そのうち頭を撫でてやる。背中を撫でてやる。なでられたまま動かずじっとしている猫。僕を警戒もせず、許している感じ。何も言わないけど、それだけで僕が満たされているって気がしてね。優しいんだよね。猫は。

ここにいる猫たちは、保護活動をしている町の人達に守られている猫だと知りました。それから、〝猫ご飯〟届けたり、「できることは手伝うよ」って話しかけたり。
そのころからだと思う。自分の心に猫が入り始めたのは・・・。

なぜ外国の猫なのですか?
う~ん、なぜだろうね・・・急に呼ばれるような気がするんだよね。以前仕事で行ったことがある国もあるし、まったく初めての国もある。スケジュール表を見て、「うん、ここ数日空いてるぞっ、ならヘルシンキかな・・・」なんてその場で決めて予約もしちゃって。
勢い込んでその猫カフェへ行くと、少し前に店を閉めていたなんてこともあったかな。
店の前で呆然!だよ。そのくらい突然に無計画に行っていた。
僕の意思というより、猫たちに呼ばれているような気もする。
頭を撫ぜた猫の数は1000匹以上かもしれない。
特別猫が大好きだったわけではないのに、今の僕は時間さあれば猫に会いに行く。不思議だよね・・・猫って。

世界の猫カフェ巡り

どこの国の猫も共通しているのはどの子もツンデレ  だから面白い・・・

和田さんが旅した国の猫の話をもとにした猫レポです

和田さんが猫に会いに行った国

ヘルシンキの猫 

ヘルシンキといえば、北欧で最も猫に優しい都市の一つとして知られています。
猫は電車やバスに乗ることもできるのですって。もちろんカフェやレストランだって出入り自由。猫用の公園やホテルまであるなんてびっくりですね。
そういえば、ムーミンで有名な絵本作家トーべ・ヤンソンの作品がある美術館もありますね。他に猫をテーマにした博物館もたくさんあります。
ヘルシンキには、野良猫や保護猫のための団体や施設もあります。もちろん猫カフェでは積極的に里親探しをしています。

ネコカフェで寛ぐ保護猫。保護猫には見えない

エストニアの猫

エストニアには、クリスマスや新年に猫の絵やぬいぐるみを飾る風習があるそうです。エストニアの猫は、昔から神秘的な存在として、様々な役割を果たしてきたようです。太陽神ラウナ(Rauna)は太陽の車を引く白い猫を従えていて、その猫は幸運や豊穣をもたらすと考えられていました。また猫に関する伝説もたくさんありタリンズ旧市街には「猫の井戸」という不思議な伝説が語り継がれ(所説色々あり)、物語も生まれています。猫がエストニアの人と一緒に暮らし生きてきたという証なのでしょう。
タリンズにある猫カフェには、保護施設から引き取られた猫たちが暮らしていました。
エストニアで1軒だけの猫カフェ。なんだか普通のお家みたいですね。

パリの猫

パリの町を猫たちはどんな風に歩いているのかしら・・・

アニメ映画の「パリ猫ディノの夜」というのがあります。パリに住む猫が夜になると盗賊になるというお話。パリの夜景と猫が美しく描かれたサスペンスアニメーションとして高く評価されたものだと何かに書いてありました。私は観ていませんが、ぜひとも見たくなりました。

町では野良猫をほとんど見かけないそうです。でも飼い主とお散歩をする猫たちがいるって。日本ではリードを付けた猫の散歩はあまり見かけないので見てみたいですね。

和田さんが町で見つけたおしゃれな猫カフェ看板。入ってみたらこんな感じで寛いでいたそうです。

何だか日本の猫みたいだけど笑

ミラノの猫

クレイジー・キャット・カフェ(Crazy Cat Cafe)というミラノで初めての猫カフェがあります。保護された猫たちはミュージシャンの名前をつける面白いカフェです。
カフェメニューも充実していて、オリジナルグッズも販売しています。
ミラノの伝統的な菓子ビチェリンはチョコレートとアーモンドのクッキーで、小さな猫の足跡に似てることからのネーミングで、クリスマスやイースターなどの祝日に食べるそうです。
ミラノでも、暮らしの中に猫がいたのでしょうね。

ミラノの猫カフェ。外を眺める猫 何を見ているのかしら…?

バンクーバーの猫

バンクーバーは動物愛護の精神が高い町と言われているとか。和田さんが行ったのはモール街にある猫カフェでした。モールの中の猫カフェというのはとても珍しいそうです。
ここでは、保護された猫たちと触れ合うことができるし、里親探しも積極的に行っています。毎年夏には世界から猫好きが集まるお祭りが開催されます。

またバンクーバーには「世界一悲しい猫」として知られるベンベンがいると聞きました。彼は交通事故で重傷を負ったため安楽死されそうになりましたが、愛情深い里親に引き取られてから幸せな生活を送っているそうです。逞しく生きるバンクーバーの猫。猫の幸せって、やはり飼い主の愛情の深さと責任にあるような気がしますね。

ご紹介した以外にもベトナム、シンガポール、マカオ、香港、アメリカ、フィンランド、オーストリア・ウィーンなどへも行かれています。
もちろん、これからも和田さんの〝猫に会いに行く旅〟は続きます。機会があればご紹介しますのでお楽しみに。

インタビューイー:和田裕助/取材・執筆:土屋和子/写真提供:和田裕助/撮影:川村小百合

和田裕助氏 プロフィール

1966年生まれ。ボストン大学工学部卒業。ミノルタカメラ㈱入社。主力商品であったプリンター部門において頭角を表し、製品開発、管理、保守をはじめ、世界への販路拡大契約交渉等で牽引。96年家業継承のため退職。2000年遺影・ビデオ・スチル写真等を一括するシステム部門を設立しプリントサービスを全国に普及。現在は葬祭業のシステムコンサル、遺族の心のケア等、葬儀社の枠を超えて人々の生と死を見つめている。㈲ワイ・イー・ワイ代表取締役

土屋和子

「猫と人。繋がる物語」編集長。元月刊パリッシュ代表&編集長。62歳までは経営者。その後はフリーランスとして現在は事業プロデユース・執筆・プロモーション制作(パンフレット・HP)等を手掛ける。フリーランスの仲間たちを繋ぐサイト「ツキヒヨリ」https://tuki-hiyori.com/を運営。

都心で黒猫シャロンと暮らしている。

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