猫と人。繋がるものがたり ネコット

経営者 2023.10.06 猫ボランティアを自立型ビジネスにした麻花さん

人と猫が出会って、
この世のすべての猫に安心して眠れる場所とお腹いっぱいの幸せを。

  9月のとある日、有楽町の国際フォーラム入り口に、ネコのバスが留まっていました。
通る人達はみなバスに興味津々の様子。

ネコのバス?

えッ ネコが中にいるの?

何だろう・・・?

猫耳つきのバスは
なんと、〝動く保護猫カフェ〟というじゃありませんか!

このネコのバスはネコリパブリックが、ネスレ ピュリナ ペットケアとの共同事業として、2018年4月から全国各地を移動しながら保護猫の譲渡促進に貢献しているバスだったのです。 

この日、お話しを伺ったのは、ネコリパブリック 代表河瀬麻花さん。

「企業とコラボして車内で譲渡会ができる移動バスを企画・運営しています。譲渡会の時にはバスの中が猫ちゃんと新しい家族の出会いの場となります。待ってばかりではなく、こちらから出向いて行きます!笑。
今日は環境省のイベントの一つとして出動しているので猫ちゃんはいませんが・・・」とにこやかに話す河瀬麻花さん。

どうぞ 中へお入りください・・・
バスの中を見せていただくと・・・

車内はこんな感じ

冷暖房は完備されていて、暑い日でも寒い日でも猫ちゃんたちが快適にイベントの一日を過ごせるように配慮されてます。
空調も考慮されているのか、匂いもほとんどしません。

河瀬麻花さんは猫共和国の首相

お話しを聞くうちにさらに驚いたのは、河瀬麻花さんはネコリパブリックという保護猫活動をする会社の代表で『猫共和国』の首相だったのです。

2014年に猫が幸せになるための国、ネコリパブリック『ネコ共和国』を建国し、自ら首相を名乗り、猫のためにあらゆる保護活動をしています。ここの大統領はもちろん猫です。
この国では猫は人間よりもエライという設定になっているらしい笑

2014年から「この世の全ての猫に安心して眠れる場所とお腹いっぱいの幸せを与える」を目標に活動を続けていると言います。

猫好きから猫事業へ

小さいころから、なぜか猫を拾ってばかり・・・家に連れて帰っては里親を探す。
そんなことを繰り返していたと言います。
ボランティアをするようになり、猫たちが殺処分される現実に出会い、何とかしなければと強く思ったそうですが、その時は何もできずにいた・・・。
それはずっと心の中に重く存在していていたようです。

自分と同じように、多くの人達がボランティアとして関わっていたけれど、気持ちだけではなかなか現実は変わらない。色々起きる問題も解決できないまま時だけが過ぎる。発信力の弱さも原因のひとつと痛感していたと言います。

ボランティアだけでは限界があるのだろうか・・・

そこで思ったのは、現状を知ってもらうこと。
それを大勢の人達に伝えていかなければならないこと。
ちゃんと耳を傾けてもらわなければならないこと。

そのためには何から始めるのか・・・?

ネコを助けるのならば、たくさんの人達の力が必須になる。
その上持続できることが重要。

猫を助ける活動をビジネス化できないだろうか・・・?
それも、利益を出せる事業にしなければ、人を雇用できない。
責任ある活動のためには雇用は必要で、雇用する事で地元との関係を深めることもできます。
もっと言えば、活動の新しい価値観・認めてもらうためのブランドを形成する必要もあると確信したそうです。

猫が好き、猫が可哀そうだけでは猫を救えない。
世の中を変える仕組みを作らなければと。

サスティナブル事業のヒントになったものは・・・

全てが手探りだったと言いますが・・・いやいやどうして計画的かつ独創的な進め方のように見えます。
ご実家がパン屋さんだったことから、ベーグルのインターネット販売をしたことがあったそうです。ボランティアの団体を、少しでもサポートしたい。
少しでも寄付金の足しになればと、販売始めてみたら、なんと、自分でも驚くほど多くのベーグルセットが販売できたというのです。
そして、予想以上の寄付をすることができたと。

そうか、こういう風に収益をあげることができれば、継続して猫助けができる。
こういう仕組みをつくればよいのだと、それが大きなヒントになったようです。

また それ以前に、ネット通販が盛り上がり始めた2004年に楽天市場に出店したところ、ショップのページデザイン・店名と商品モチーフに猫を起用し「猫のパン屋さん」として販売。
これも瞬く間に人気店になり、月商が3000万円を超える月もあったというから、商才は元々お持ちのようですね。
こういう過去の経験がポテンシャルになっているのでしょう。

まず、初年度は岐阜県から女性若者起業家支援事業の助成金を得て
「自走型保護猫カフェ」を開店しました。
そこは単なる保護猫カフェだけの役割ではなく、ボランティアの人や一般の方々の架け橋になる場にもしたい。そして、新たな保護猫カフェの運営や猫との暮らし方の提案の場でもありたいと決意。そしてスタートしました。

あれから9年。

今では保護猫カフェや非営利シェルター、ブランド・ショップ等全国で15拠点、保護猫のための施設を運営しています。
現在のネコリパブリックは常時500頭の猫ちゃんがいる。
みんな道端でひろわれた仔や保健所で殺処分直前にレスキューした仔、何らかの事情で飼えなくなってしまった猫たちを引き取って、新しい家族を探して人も猫も幸せになるためのサポートするのが活動のミッションです。
この想いは9年間何も変わりません。
毎月平均50~70頭の猫たちがネコのバスや保護猫カフェの譲渡会を通して、里親の元へ旅立ちます。そして新たな仔たちが加わってきます。

保護ネコカフェの取り組み

里親探しは冒頭の『移動型保護猫カフェ』活動だけでなく、お洒落なユニークな保護猫カフェ6店舗。
岐阜店・大阪店猫浴場猫旅籠・東京お茶の水店・池袋店・広島店・大阪熊取店。
他にキャットプラザwithネコリパブリック西葛西、SAVE THE CAT HIDAシェルター、ネコリパブリック東京谷中、千葉店。
ユニークな店舗運営が注目されています。

この保護猫カフェの活動が地元のサポーターとの関係を作り、猫ちゃんと人を繋げる最適な場所になっているのでしょうね。ここで注目する点はどの店舗も個性的で猫愛に溢れている事。テーマや主張をもって存在しているので、周りの人達を惹きつけ巻き込む力があるのでしょうね。

大阪 ねこ浴場&ねこ旅籠
東京 お茶の水店

ネットショップ 
楽天ショップ
ネコリパストア

アパレルショップNECOREPA 蔵前店 
ネット販売だけでなくリアル店舗も蔵前に出展しました。
猫がモチーフのアパレルショップ。保護猫を知らない人にも、おしゃれなグッズを買うことで自然に保護猫活動に参加してもらえたら・・・そんな思いで開店したそうです。

日本最大級の保護猫イベント
4年ぶりに開催!

地元TV局をはじめ多くの企業の協賛を得ています。
ネコ市は、ネコグッズの商店街。
ネコ座は猫を愛するアーティストの音楽イベントや、保護猫セミナーなどのステージ。
イベントの収益は殺処分されてしまう猫たちを救う活動に役立てているそうです。

今、そしてこれからの取り組みをお聞きしました!

「猫のシェルター ホスピスを作ります!」
森つきの1軒家を990万円で買いました。

本気で、殺処分ゼロにするための、新しい仕組みを作りたいのです。
ここが、ボランティア育成施設にもなる!
猫助けできる人をどんどん量産していきます。
9月30日0時にスタート!
2222円から支援できますのでよろしくお願いします。
最終目標は2000万円!

猫たちを守る、シェルター、そしてホスピスとして生まれ変わらせるために、改装費をクラファンしますー!
10月1日現在 200万円突破しました。

河瀬麻花さんから ひとこと

猫を家族に迎えたいと思った時に、誰もが保護猫から・・・というのが当たり前の社会になってほしいと思っています。
殺処分ゼロを目指すには、 蛇口を閉め(持ち込まれる猫を作らない) 受け皿をつくり(持ち込まれた猫たちをレスキューする場所) 出口を作り(猫たちのずっとの家族を見つける) 継続する(活動を継続する資金づくり) という4つの車輪を同時に回していく必要があります。
それを実現するためには、猫好きな人も、猫に興味がない人も、猫が嫌いな人たちの協力が不可欠です。 誰もが目を背けたくなる現実も自分のできることをちょっとずつアクションすることで社会を変えるキッカケとなります。
私たちの活動が、皆様のアクションのキッカケになれば嬉しく思います!

インタビューイー:河瀬麻花/執筆:土屋和子

河瀬麻花さんプロフィール
岐阜県大垣市出身。大学卒業後、日本語教師の資格を取り、広く海外を歩く。ニューヨークから東南アジアまで幅広く数年にわたり、バックパッカーの経験あり。
2005年ベーグル専門店「エルクアトロギャッツ」をオープンし、楽天市場に出店。14年に自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」を岐阜で開店。現在、保護猫カフェ全国8店舗のほか、物販専門店「NECOREPA STORE」を運営。行政・企業との積極的なコラボをして事業を展開中。プライベートでは猫7匹と同居。猫の名前はチャカ、どろろ、おにぎり、モフモフ氏、白丸、キキ、ララ。

「猫と人。繋がる物語」編集長。元月刊パリッシュ代表&編集長。62歳までは経営者。その後はフリーランスとして現在は事業プロデユース・執筆・プロモーション制作(パンフレット・HP)等を手掛ける。フリーランスの仲間たちを繋ぐサイト「ツキヒヨリ」https://tuki-hiyori.com/を運営。

都心で黒猫シャロンと暮らしている。

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