猫と人。繋がるものがたり ネコット

経営者 2023.12.07 猫が一番だから 猫飯を作って幸せにする

私が初めて重野優奈さんと出合ったのは、横浜で行われた猫と犬のイベント会場でした。
その日は前日まで30℃近かった気温がいきなり下がった雨の日で、地下鉄の駅を降りて会場までの道が凄く寒くて、震えながら歩いて会場に向かいました。
necotto代表の川村小百合さんも一緒です。
会場にはワンちゃん連れの方もいて、かなり賑わっていました。
一周りしてから、再度戻ってお話しを聞きたいと思ったのが、優奈さんのブースでした。

会場にはたくさんの猫フードがあったのですが、優奈さんのブースに惹きつけれたられた理由はふたつ。一つはフードのパッケージが佃煮のように見えたこと。「猫一番・猫のための漁師飯」とあった。

コレ、猫ちゃんのフードですか?
と思わず聞くと、
「はい、全部手作りで漁港直送の魚で作っているんです。」と。
そして、もう一つは、そこのブースで一人で切り盛りしていた優奈さんが、「漁師飯」というネーミングとはちょっとかけ離れた可愛らしい若い女子だったこと。
とても気になってしまった私はさらに質問を続けると、
なんとこの猫飯商品は今回のイベントがリアルな市場初公開だと言う事でした。
その初デビューに果敢にも一人で挑んでいるのです。
それも、若い女子一人で。
「この猫飯、猫のために作りました。海から上がった魚をいち早く加工して、猫ちゃんに届けたくて・・・」と、熱く説明してくれました。海は三重県の熊野灘という。あの、熊野古道で有名なところですね。
「全部一人の思いだけで商品化までこぎつけました」と。
その言葉を聞いて、私はさらに興味がわきました。けれど、イベントの真っ最中ですから、お邪魔になっては申し訳ないので
「ねぇ、もう少しお話しきかせてくださる?」とお願いをして、再会のお約束を取り付けてその場を離れました。

そして、1か月後、お会いすることができました。

猫一番・漁師飯とはどういうフードですか?

猫は人間以上に鮮度を見わける力を持っているんです。食べ物の食材を味覚・臭覚でかぎ分けます。
本来猫の食べ物には、添加物は不要です。必要な栄養素はビタミン・ミネラル等を含んだ天然素材が理想です。
また栄養面だけでなく、猫が「美味しい」と思ってくれなくては意味がありません。猫の味覚にとことんこだわると、水揚げしたばかりの魚だと直感したのです。
知り合いを通して、三重県の熊野港の漁師さんを紹介してもらいました。

実際漁師さんと船に乗り込んで、魚を捕ることから自分の目で確認しました。

猫は昔から魚が大好きです。本能的に新鮮な魚が美味しいことを知っています。
魚類に多く含まれている多価不飽和脂肪酸は、常温でも固まりにくいサラサラ液体の状態で、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らし、動脈硬化などを防ぐ効果があります。また体内生成できないため、外部から摂取する必要があります。

鹿レバー肉

100%国産の鹿レバーを使用。レバーが栄養素の宝庫であることはご存知のとおり。
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB群や、鉄、亜鉛、銅、セレンといった微量ミネラルの補給源として優秀な食材です。

牡蠣

牡蠣には亜鉛がたくさん含まれています。亜鉛は健康な皮膚や豊かな被毛を維持するために必須の栄養素。また、タウリンやグリコーゲンなども豊富です。

昆布

ヨウ素含有量が多いのが特徴です。
免疫力アップに効果があるといわれる注目成分フコダインや、旨味成分であるグルタミン酸も豊富です。

こういうこだわった魚介に鹿肉パウダーをつけて、猫一番・漁師飯の商品が完成しました。

猫ちゃんのフードになぜこだわるのですか?

昔は、猫が好きではなかったのですよ。学生の頃に留学していたホームステイ先に猫がいて、すりよってくるのが攻撃されているように感じたり、喉を鳴らすグルグルいうのが理解できなくて、どうやって追い払おうかと・・・・ただただ怖かったのですね。

でも帰国する頃になって、わかってきたのです。
ひょっとして私のこと好きなのかなって。
最後まで理解してあげられなかったことが、ずっと心に残っていたのです。

日本に帰って広告代理店に就職するのですが、そんな時、迷い猫と暮らすことになるのです。人生って不思議なことがあるものです。猫が嫌いな私がちょっとしたきっかけで、ネコの事ばかり考えるようになってしまいました。

猫と暮らし始めて、猫のことがわかり始めると、ホームステイにいた猫は、私に一生懸命愛情表現をしてくれたことに気がつきました。それなのに、私は一つも応えてあげられなくて・・・申し訳なかったという後悔の気持ちも生まれたりして。
猫の幸せってなんだろう・・・?って考え始めたのです。
ちょうどその頃、どうしても自分で何かやりたい!という気持ちが強くなってきて、会社を辞めることに迷いはありませんでした。

犬は遊んであげたりお散歩したり、色々幸せなことがありそうだわ。猫は何だろう・・・?そう考えていくと、猫の幸せって、食べることじゃないかと。おいしいものを食べることが猫にとって一番かもしれない!
その思いに至ったらもうまっしぐらって感じです笑

人と出会うたびに商品がカタチになってきた

思いがあっても何も知らない私でした。思いをびっしり書いて、ある投資家さんを訪ねました。
その時に言われました。「思いはわかるけど、知識がなさすぎる。強い企業はその業界のことを半端なく詳しいし、商品自体の知識とか経験がなければだめだ」と。
確かにそうかもしれない。少しばかり自信を無くしましたけど、やるしかない。

そこから今度は自分が足りない知識や経験のあるプロの方を探し始めました。

その最初の出会いが獣医師さんで、その方からまた多くの方たちを紹介いただきました。栄養士さんとも巡り合えました。
出会う度に、目指す商品がカタチになって行きます。
漁師さんとの出会い、それを加工する会社さんとの出会いが事業を前進させました。
水揚げした魚を徒歩30秒の場所にある猫ご飯工場に運びます。
全て手作業です。
作り上げる工程から学びました。

魚を優しく袋に入れた後、瞬時に真空パックしレトルト加工します。
魚を丸ごと入れているので骨がありますが、しっかり調理されているので安心して食べさせてください。さらに骨は、天然の貴重なカルシウムなので猫の体にとても良いです。「漁師飯」には、さまざまな海藻が混ざっていることが稀にありますが、天然の海のミネラルとしてあえて残しています。
魚パウチとは別にパウダーを添付してますが、これは鹿レバー・牡蠣・昆布全て職人さんの手で細かくパウダー状にしたものです。魚パウチに植物油小さじ1杯(5cc)を入れて振りかけて食べさせてください。美味しいデス!

ネーミングとパッケージが面白い

パッケージデザインもこだわりました。
ペットフードでは、あまり見慣れない和の世界観です。
一般的には、猫の写真が多く使われたものですよね。
私も現場に行くまでは、世界観はポップな雰囲気とか色々イメージしてました。
でも、現地で私の気持ちが決まりました。
お魚を獲った三重県熊野灘もパウダーを作った兵庫県淡路島も自然豊かな所です。
この自然の豊かさ・素材の良さは、和でしか伝えられないと。
そこでデザインを一気に方向チェンジしました。

全てのコストを原材料につぎ込み、梱包材などは最低限にした本当に猫目線で猫が喜ぶことを軸に開発できたと思っています。

猫を一番に考える人達のための企業です。

私が愛猫ムンスと暮らす中で、もっと猫のことを一番に考えたサービスがあったらいいなと思い立ち上げた事業です。
私たちは、猫と過ごす時間の他にもたくさんの楽しみがあります。
でも猫は?と考えると、猫にとっては、私たち家族しかいません。
ムンスに癒されながらの毎日ですが、ムンスは飼いならされることはなく、どこか自然に近く野生を保ったまま私と暮らしているような気がします。
自然に近い猫を理解しようとすればするほど難しく、ただ同時にそれが猫の魅力だとも感じています。猫の存在は尊く、私を支えてくれています。
だからこそ、猫一番では、猫にとっての幸せを追求したい!

また、「猫を一番に考える人々」のために暮らしを豊かにするお手伝いもできたらいいなと考えています。

インタビューイー:重野優奈/取材・執筆:土屋和子

猫一番株式会社
代表取締役 重野優奈

・1997年生まれ
・愛知県刈谷市育ち

大学卒業後、都内の広告代理店にて健康食品のダイレクトマーケティングの広告支援を行う。4年間働いた後に、猫一番株式会社を設立。

土屋和子

「猫と人。繋がる物語」編集長。
元月刊パリッシュ代表&編集長。62歳までは経営者。その後はフリーランスとして現在は事業プロデユース・執筆・プロモーション制作(パンフレット・HP)等を手掛ける。フリーランスの仲間たちを繋ぐサイト「ツキヒヨリ」https://tuki-hiyori.com/を運営。
都心で黒猫シャロンと暮らしている。

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